登山での食糧の基本的なこと 食糧 2015年09月03日 0 とりあえず日帰りや一泊程度なら、よほど偏った食事でない限り問題は発生しないと思われます。絶対的に量が不足していればまずいでしょうが、そうでなければわりと自由に食べるものを選んでよいのではないでしょうか。必要なエネルギーだけ腹に入れて、後は歩くことに専念するもよし。いろいろ食材を担いでいって、こだわりの山上クッキングと洒落るのもまたよし。一方で、旅程が長くなればなるほど食糧計画が重要になってきます。では、具体的にどうしたらいいのかと考えると、食事と健康、食事と運動については色んな人が色んなことを言っていて、混乱してしまいます。最新の研究成果と大々的に喧伝された内容が、ほんの数年でひっくり返ることも珍しくありません。当方はとにかく基礎ができていない素人なので、最先端の研究を追い回すよりも基本的なことを考えてみようと思います。利用するのは、これまた基本的な「食品成分表」です。登山での食糧で一番大切なことは、必要なエネルギー(いわゆるカロリー)を確保することでしょう。ビタミンやらミネラルやらは、数日であれば欠乏しても重大な結果にはならないと思います。ある程度はサプリメント類で補うこともできるので、これについてはまたいずれ考えます。サプリメントとプロテインさて、人間が活動するためのエネルギーになるものは、蛋白質、炭水化物、脂質の三つです。この内、最も熱量が大きいのが脂質です。脂質は体に良くない、脂質は毒!というイメージもありますが、脂質にもいろいろ種類があって、良質なものは体に良い作用を持っていますし、人体に必須の成分も含まれています。上手に利用することを考えていきましょう。エネルギーの内、20〜30%を脂質にすることが推奨されていますので、ここではギリギリの30%をリミットとします。もともと登山は脂質代謝の効率のよい運動だとされていますから、たぶん大丈夫です。ただし、運動が激しくなるほど脂質代謝の割合が減るらしいので、スポーツ性の高い山行スタイルの人は脂質少なめ、炭水化物多めの食糧を用意するのがいいかもしれません。荷物を背負って一日山道を歩けば、多かれ少なかれ筋肉にダメージを受けるはずです。また、人体内の蛋白質は常に分解と合成を繰り返して動的平衡を保っていますが、蛋白質が分解されてできたアミノ酸の一部は、運動に応じてエネルギー源として消費されてしまいます。したがって、登山中の食事でもできるだけしっかり蛋白質を摂取することが望ましいでしょう。しかし、蛋白質は案外取りにくい栄養素でもあります。推奨されているのは、エネルギーのうちの13〜20%を蛋白質にすることですが、やや少なめの15%を目標とします。もっと取れるなら取っていいと思いますが。さあ、これでひとつの目安ができました。以下の割合でエネルギーを摂取することを目標とします。【エネルギー比】蛋白質15%(以上):炭水化物55%:脂質30%(以下)これを、蛋白質4kcal/g、炭水化物4kcal/g、脂質9kcal/gという概数を使って質量比に置き換えてみます。【質量比】蛋白質18%(以上):炭水化物66%:脂質16%(以下)この割合で100gの食品を想定すると、熱量はおよそ480kcalになります。現実には、たとえ乾燥している食品でも10%程度の水分は含んでいますから、もう少し小さい数字になるでしょう。こうして求められた「100gあたり480kcal」という数字は重要です。これより熱量を大きくしようとするなら、脂質の割合を増やすしかありません。「高タンパクで、エネルギー化しやすい炭水化物中心、脂質は少なくて、100gあたり600kcalの食品」なんて都合の良いものは「絶対に」存在しないのです。この限界を、ここでは「健全性の壁」と勝手に呼ぶことにします。また、登山の全行程に必要なカロリーと「100gあたり480kcal」という数字から、「健全性」を維持する限り絶対にそれより軽くできない食糧の重さも導き出されます。もちろん、食糧の脂質の割合を増やして高カロリー化(=軽量化)し、「健全性の壁」を破ってしまっても直ちにどうということはないでしょう。ただ、脂質の割合を増やしすぎると運動のパフォーマンスが低下する危険性はあると思われます。食糧を考える:糖類食糧を考える:米と米加工食品食糧を考える:米以外の穀物食品食糧を考える:ドライフルーツなど食糧を考える:油脂類食糧を考える:ナッツ類食糧を考える:菓子類(和風)食糧を考える:菓子類(洋風)食糧を考える:肉類、魚介類食糧を考える:乳製品、大豆製品など [0回]PR