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いろいろ歩いて行くブログ

いろいろ歩いて行った記録です。 山域のカテゴリーはだいたい昭文社の登山地図にしたがっています。

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食糧を考える:米と米加工食品

さて、ほぼ純粋な炭水化物である糖類は(水分などをほぼ含まないため)炭水化物としては最高の熱量を持ち、加熱せずとも口にすればエネルギーになるという利点があります。

食糧を考える:糖類

しかしそうは言ってもそうそう甘いものばかりは食べられません。
そこで日本人なら米。
米類を検討します。

まずは生米。「水稲穀粒」の「精白米」を見てみましょう。


水稲穀粒 精白米 356kcal 水分15.5g 蛋白質6.1g 脂質0.9g
糖類と比べて熱量の数値が小さいのは、水分が15%以上含まれるからですね。
炭水化物の種類によって熱量が大きく異なるということはなくて、含有する水分の差が数値に決定的な影響を与えます。
脂質が低いのにも注目しておきましょう。

炊きあがったご飯の数値も一応見ておきます。


水稲めし 精白米 168kcal 水分60.0g 蛋白質2.5g 脂質0.3g
水分60%は携行食糧としては「重荷」と言わざるをえません。
重量あたりのエネルギーはとても低くなってしまいます。
水を加えずに温めるだけで食べられるレトルトのご飯も同じような数値になると予想できます。

登山用の食糧としてよく利用されているアルファ米はどうでしょうか。


アルファ化米 387kcal 水分8.0g 蛋白質5.8g 脂質0.7g
素晴らしい数値ですね。グラニュー糖の387kcalと同じ熱量です。
水分は少ないながらも8%含みますが、グラニュー糖に熱量で並ぶのは脂質が加わるためでしょう。

米粉を原料にした食品に「ビーフン」がありますが、これはどうでしょう。


ビーフン 377kcal 水分11.1g 蛋白質7.0g 脂質1.6g
アルファ米には敵わないにしても悪くない数値です。
これならお好みで持っていくのもいいのではないでしょうか。

最後に餅を見ておきましょう。


もち 235kcal 水分44.5g 蛋白質4.2g 脂質0.8g
意外と水分が多いですね。重量あたりの熱量で考えると生米にも劣ります。
水分を加えなくとも加熱するだけで食べられるというのは強みかもしれませんが、それをどういう場面で活かすかというと難しいかもしれません。

※数値はすべて100gあたり

登山での食糧の基本的なこと

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食糧を考える:糖類

「食品成分表」で個別の食品の成分を検討していきます。

まずは「ざらめ糖 グラニュー糖」。まあ普通の砂糖ですね。
100gのうち、炭水化物が100g。
水分ゼロ。蛋白質ゼロ。脂質ゼロ。ビタミン・ミネラルゼロ。
純粋な炭水化物です。
これで387kcal。400kcalには届かない。これが炭水化物のポテンシャルです。
100gで400kcal以上ある食品は「必ず」脂質に頼っています。

次に体に良さそうなイメージの「黒砂糖」を見てみましょう。
(以下、すべて100gあたりの数字です。)
水分5%で、354kcal。グラニュー糖よりやや低カロリー。
脂質は含まず、蛋白質1.7gを含みますがたいした量ではありません。
カリウム、カルシウム、鉄などのミネラルが多いですが、登山時の栄養としてどれだけ役立つかは疑問です。
日常の食生活で、砂糖を黒砂糖に置き換えるなどするなら、長い目で見て健康上のメリットはあるかもしれませんが、ほんの数日のことなら黒砂糖でも普通の砂糖でも好きな方でいいように思います。

次に「ぶどう糖」を見ましょう。
「全糖」で水分9%を含み、335kcal。「無水結晶」なら水分は0.3%で、367kcal。
どちらも水分を除けば、純粋な炭水化物です。
ぶどう糖は吸収が早いことが特徴ですが、「吸収が早い」ことは必ずしもメリットだけではない点に注意が必要です。
ぶどう糖を口にすると素早く吸収されて血糖値が急激に上昇します。するとインシュリンが分泌されて、今度は血糖値を急激に下降させます。
このように血糖値が安定しないと、身体のパフォーマンスにも悪影響が考えられます。同じことは砂糖でも起こるそうです。
とは言え、いわゆるシャリバテをうっかり起こしてしまうことも考えて、急速エネルギー補給に一定量のぶどう糖を持っておくのは有効かもしれません。ラムネ菓子はぶどう糖にでん粉とクエン酸を加えたものなので、代用に使えそうです。

次は「果糖」。
水分0.1%で、368kcal。これまた純粋な炭水化物です。
果糖はぶどう糖とは違う仕組みでエネルギーになるので、砂糖やぶどう糖のような血糖値の乱高下を起こさないという特徴があります。
欠点として、エネルギー源として消費されなかった果糖は脂肪になりやすく、太りやすい糖類だと言われています。しかし、登山中のエネルギーとして使うならあまり問題ないのではないでしょうか。

「粉あめ」というものも載っています。
水飴を乾燥させて粉末にしたものですが、化学的にマルトデキストリンという名前もあるようです。
水分が3%で、381kcal。
砂糖などと比べて吸収がゆっくりで血糖値を不安定化させないため、長距離ランや自転車などの持久系スポーツをする人たちに注目されているようです。市販のエナジーゼリーなどにも入っています。
登山でも利用価値のあるエネルギー源だと言えましょう。

それから「はちみつ」も見ておきましょう。
水分20%を含むため、熱量は294kcalに留まります。
蛋白質0.2%は、ほとんど誤差みたいなもので、気にする必要はないでしょう。
イメージとは異なり、重量あたりの熱量は「精白米」の356kcalより低くなります。
とは言え、調理不要で直接口にしてエネルギー補給できるので、使い方次第で有益と言えます。まあ、お好みでどうぞ。
主成分はぶどう糖と果糖。整腸作用のあるオリゴ糖も含みます。

最後に糖類ではありませんが、でん粉を見ておきましょう。
「とうもろこしでん粉」。いわゆるコーンスターチですね。
水分12.8% 354kcal 蛋白質0.1% 脂質0.7%
でん粉のポテンシャルはこんなものです。

「くずきり 乾」や「はるさめ 乾」のデータもありますが、だいたい同じで、要するにでん粉なんだということがよくわかります。

登山での食糧の基本的なこと

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登山での食糧の基本的なこと

とりあえず日帰りや一泊程度なら、よほど偏った食事でない限り問題は発生しないと思われます。
絶対的に量が不足していればまずいでしょうが、そうでなければわりと自由に食べるものを選んでよいのではないでしょうか。
必要なエネルギーだけ腹に入れて、後は歩くことに専念するもよし。いろいろ食材を担いでいって、こだわりの山上クッキングと洒落るのもまたよし。

一方で、旅程が長くなればなるほど食糧計画が重要になってきます。
では、具体的にどうしたらいいのかと考えると、食事と健康、食事と運動については色んな人が色んなことを言っていて、混乱してしまいます。
最新の研究成果と大々的に喧伝された内容が、ほんの数年でひっくり返ることも珍しくありません。

当方はとにかく基礎ができていない素人なので、最先端の研究を追い回すよりも基本的なことを考えてみようと思います。
利用するのは、これまた基本的な「食品成分表」です。

登山での食糧で一番大切なことは、必要なエネルギー(いわゆるカロリー)を確保することでしょう。
ビタミンやらミネラルやらは、数日であれば欠乏しても重大な結果にはならないと思います。ある程度はサプリメント類で補うこともできるので、これについてはまたいずれ考えます。

サプリメントとプロテイン

さて、人間が活動するためのエネルギーになるものは、蛋白質、炭水化物、脂質の三つです。

この内、最も熱量が大きいのが脂質です。
脂質は体に良くない、脂質は毒!というイメージもありますが、脂質にもいろいろ種類があって、良質なものは体に良い作用を持っていますし、人体に必須の成分も含まれています。上手に利用することを考えていきましょう。
エネルギーの内、20〜30%を脂質にすることが推奨されていますので、ここではギリギリの30%をリミットとします。もともと登山は脂質代謝の効率のよい運動だとされていますから、たぶん大丈夫です。
ただし、運動が激しくなるほど脂質代謝の割合が減るらしいので、スポーツ性の高い山行スタイルの人は脂質少なめ、炭水化物多めの食糧を用意するのがいいかもしれません。

荷物を背負って一日山道を歩けば、多かれ少なかれ筋肉にダメージを受けるはずです。また、人体内の蛋白質は常に分解と合成を繰り返して動的平衡を保っていますが、蛋白質が分解されてできたアミノ酸の一部は、運動に応じてエネルギー源として消費されてしまいます。
したがって、登山中の食事でもできるだけしっかり蛋白質を摂取することが望ましいでしょう。
しかし、蛋白質は案外取りにくい栄養素でもあります。推奨されているのは、エネルギーのうちの13〜20%を蛋白質にすることですが、やや少なめの15%を目標とします。もっと取れるなら取っていいと思いますが。

さあ、これでひとつの目安ができました。以下の割合でエネルギーを摂取することを目標とします。

【エネルギー比】蛋白質15%(以上):炭水化物55%:脂質30%(以下)

これを、蛋白質4kcal/g、炭水化物4kcal/g、脂質9kcal/gという概数を使って質量比に置き換えてみます。

【質量比】蛋白質18%(以上):炭水化物66%:脂質16%(以下)

この割合で100gの食品を想定すると、熱量はおよそ480kcalになります。現実には、たとえ乾燥している食品でも10%程度の水分は含んでいますから、もう少し小さい数字になるでしょう。

こうして求められた「100gあたり480kcal」という数字は重要です。
これより熱量を大きくしようとするなら、脂質の割合を増やすしかありません。
「高タンパクで、エネルギー化しやすい炭水化物中心、脂質は少なくて、100gあたり600kcalの食品」なんて都合の良いものは「絶対に」存在しないのです。
この限界を、ここでは「健全性の壁」と勝手に呼ぶことにします。

また、登山の全行程に必要なカロリーと「100gあたり480kcal」という数字から、「健全性」を維持する限り絶対にそれより軽くできない食糧の重さも導き出されます。

もちろん、食糧の脂質の割合を増やして高カロリー化(=軽量化)し、「健全性の壁」を破ってしまっても直ちにどうということはないでしょう。
ただ、脂質の割合を増やしすぎると運動のパフォーマンスが低下する危険性はあると思われます。

食糧を考える:糖類

食糧を考える:米と米加工食品

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